顎関節症に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

鍼灸効果シリーズ

顎関節症は、「口を開けると痛い」「口が大きく開かない」「口を開閉するとカクカク音が鳴る」といった症状を引き起こす疾患です。食事や会話など日常生活への影響も大きく、慢性化すると頭痛や肩こり、首の痛みなどを伴うことも少なくありません。

鍼灸治療は、顎関節そのものだけでなく、原因となる筋肉の緊張や自律神経の乱れにもアプローチできるため、顎関節症に対する有効な保存療法の一つとして注目されています。

顎関節症の症状と特徴を理解する

顎関節症の代表的な症状には以下のようなものがあります。

・口を開けると顎が痛む

・大きく口を開けられない

・口を開閉すると「カクッ」「ジャリジャリ」と音がする

・食事中やあくびで痛みが強くなる

・頬やこめかみ、耳の前が痛む

・頭痛や肩こり、首の痛みを伴うことがある

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時にみられることもあります。また、ストレスや疲労が蓄積すると悪化する傾向があります。

顎関節症の原因と発症メカニズム

顎関節症は一つの原因だけで発症する病気ではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。

咀嚼筋の過緊張

食いしばりや歯ぎしりにより咬筋・側頭筋・外側翼突筋などが緊張し、顎関節へ大きな負担をかけます。

顎関節円板の異常

関節円板が前方へずれることで、開口障害や関節雑音が生じます。

ストレスや自律神経の乱れ

精神的ストレスは無意識の食いしばりを増やし、筋肉の緊張を強めることで症状を悪化させます。

姿勢不良

猫背やストレートネックなどにより頭部の位置が前方へ移動すると、顎周囲の筋肉へ過剰な負担がかかります。

鍼灸治療が顎関節症に効果を発揮するメカニズム

筋肉の緊張緩和

咬筋・側頭筋・外側翼突筋・胸鎖乳突筋などへ鍼刺激を行うことで、筋肉の過緊張を和らげます。

血流改善

局所の血流を改善することで、筋肉内に蓄積した疲労物質や発痛物質の排出を促します。

鎮痛作用

鍼刺激によってエンドルフィンなどの内因性鎮痛物質が分泌され、痛みを軽減します。

自律神経の調整

交感神経の過緊張を抑え、食いしばりや歯ぎしりなどの背景となるストレス反応の軽減が期待できます。

現代医学からみた鍼灸治療の効果

顎関節症の治療では、マウスピース療法、生活指導、理学療法などが基本となります。近年では、これらに加えて鍼灸治療を併用することで、疼痛軽減や開口量の改善、筋緊張の緩和が期待できることが報告されています。

特に筋肉由来の顎関節症では、鍼灸は薬を使用しない保存療法として有効な選択肢の一つと考えられています。

科学的研究からみる鍼灸の効果

La Touche Rらによるシステマティックレビュー(2010年)

・概要:顎関節症に対する鍼治療を検討した複数の研究を解析し、疼痛軽減や機能改善に有効である可能性が示されました。

・引用
La Touche R, et al. Effectiveness of acupuncture in temporomandibular disorders. Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2010.

PubMed
Screening for hypertension in a primary care dental clinic - PubMed By screening for hypertension, especially among patients who are more than 40 years old, the dentist can play an important role in the early diagnosis.

Fernandesらによるシステマティックレビュー(2021年)

・概要:顎関節症患者に対する鍼治療は、短期的な疼痛軽減と顎機能改善に有効であることが示唆されました。ただし、さらなる質の高い研究が必要とされています。

・引用
Fernandes G, et al. Acupuncture for temporomandibular disorders: Systematic review.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/338920※PubMedで最新レビューを確認できます。

鍼灸治療の禁忌と注意点

・顎関節の骨折や脱臼が疑われる場合

・顎関節部に感染症や腫瘍が疑われる場合

・急速に口が開かなくなった場合

・発熱や著しい腫脹を伴う場合

これらの場合は、まず口腔外科や歯科、整形外科などで精査を受けることが重要です。

当院での顎関節症治療の実際

当院では、顎関節症の原因や症状に応じて以下のような治療を行っています。

局所治療:咬筋・側頭筋・顎関節周囲・首肩の関連筋へ鍼刺激を行い、筋緊張の緩和と疼痛軽減を図ります。

全身治療:首や肩だけでなく、背中や腰など関連する筋肉の緊張を和らげることで、顎関節への負担を軽減します。また、自律神経や血流のバランスを整えることで、体全体の回復力を高め、症状の再発予防につながります。

耳介療法(BFA®又は各種耳鍼療法):ストレスや食いしばりの軽減、慢性的な痛みのコントロールを目的として行います。

私見ではありますが、顎関節症はストレスや食いしばりの影響を強く受ける疾患であるため、局所治療に加えて耳介療法(BFA®・MSEA)を併用することで、より高い改善が期待できると感じています。

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鍼灸治療の可能性と未来

顎関節症は、顎だけの問題ではなく、首や肩、姿勢、自律神経、精神的ストレスなどが複雑に関係する疾患です。そのため、局所だけでなく全身を総合的に診る鍼灸治療との相性は非常に良いと考えられます。

医科・歯科との連携を図りながら適切に鍼灸を取り入れることで、薬だけに頼らない治療の選択肢として、今後さらに期待される分野です。

顎関節症でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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