生理痛に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

生理痛(月経困難症)は、下腹部の痛みだけでなく、腰痛・頭痛・吐き気・情緒不安定など多くの不調を引き起こす女性特有の症状です。薬を手放せない方も多く、生活に大きな支障をきたすケースもあります。
鍼灸は、こうした生理痛の根本的な体質改善に役立つ、薬に頼らないやさしい治療法です。
生理痛の症状と特徴を理解する
- 下腹部の強い痛みや鈍痛(周期的・持続的)
- 腰の重だるさ、張るような痛み
- 吐き気、食欲不振、下痢や便秘などの消化器症状
- 頭痛、めまい、情緒不安定
- 痛み止めが効かない、または手放せない
生理痛の原因と発症メカニズム
子宮の過剰収縮(プロスタグランジン)
月経時に分泌されるプロスタグランジンが過剰になると、子宮が強く収縮し痛みを引き起こします。
冷えや血流不足
下腹部や足の冷えによって血流が滞ることで、痛みや不快感が増します。
ホルモンバランスの乱れ
排卵後に分泌される黄体ホルモンの異常により、月経時の不調が強くなることがあります。
自律神経の乱れやストレス
心身のストレスがホルモン分泌や筋緊張に影響し、生理痛を悪化させます。
鍼灸治療が生理痛に効果を発揮するメカニズム
血流の改善
下腹部や足への鍼刺激により骨盤内の血流が促進され、冷えやうっ血を緩和します。
筋緊張の緩和
子宮周囲や骨盤周囲の筋緊張を和らげ、痛みを軽減します。
内因性鎮痛機構の活性化
エンドルフィンなどの鎮痛物質を分泌させ、痛みの感じ方そのものを和らげます。
ホルモン・自律神経の調整
視床下部—下垂体—卵巣系のホルモン分泌に間接的に作用し、生理周期や症状を整えます。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
生理痛に対する治療は、鎮痛薬や低用量ピルが主流ですが、薬を使わずに痛みを和らげたい方や、薬が効きづらいケースに鍼灸は注目されています。
ホルモンや自律神経に働きかけるアプローチは、生理痛だけでなくPMS(月経前症候群)や不妊治療の一環としても有効とされています。
科学的研究からみる鍼灸の効果
原発性月経困難症に対する鍼治療(中国・2013年)
- 対象:月経困難症の女性201名
- 結果:鍼治療群はNSAIDs群よりも痛みの軽減が有意に高く、再発率も低かった
- 引用:Yang H et al., “Clinical observation on acupuncture treatment of primary dysmenorrhea”, Chin J Integr Med, 2013
月経困難症に対する鍼治療のシステマティックレビュー(韓国・2018年)
- 結果:鍼治療は月経困難症の痛みの緩和において有意な効果があり、副作用が少ないことが確認された
- 引用:Cho SH et al., “Acupuncture for primary dysmenorrhea: A systematic review”, BJOG, 2018
鍼灸治療の禁忌と注意点
- 生理痛の原因に子宮筋腫・内膜症・卵巣嚢腫などがある場合は医師の診断を優先します
- 妊娠初期の可能性がある方は事前に申告をお願いします
- 生理中の施術も可能ですが、体調やご希望により調整いたします
当院での生理痛治療の実際
全身治療:背中や足のツボを用いて自律神経・ホルモンバランスの調整を行います。
耳介療法(BFA®または各種耳鍼療法):ホルモンバランスや感情面、自律神経を安定させる作用があり、持続的な鎮痛効果が期待できます。
私見:特に「ASPニードルを用いたBFA」は、強い生理痛やPMSに悩む女性にとって、非常に有効な補助療法であり、服薬量を減らしたい方には特におすすめです。


鍼灸治療の可能性と未来
生理痛は「体質だから仕方ない」と諦めてしまう方が多い症状ですが、実は体のバランスを整えることで軽減・予防が可能です。薬に頼らず、自然な形で症状を改善したいと考える方には、鍼灸治療が力になれるはずです。
「毎月のあの痛みを何とかしたい…」
そんな想いを抱える方は、ぜひ一度鍼灸の力を試してみてください。
経験豊富な鍼灸師が、あなたの体と丁寧に向き合います。
