頚椎症に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

頚椎症に悩む方にとって、鍼灸治療は痛みの軽減や神経症状の緩和に効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、頚椎症に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに当院での治療例について詳しく解説します。
頚椎症のの症状と特徴
頚椎症は、加齢や生活習慣によって頚椎の椎間板や骨が変性し、神経や脊髄を圧迫することで起こる疾患です。首の痛みだけでなく、肩や腕、手のしびれなどを伴うこともあります。
主な症状
- 首の痛みやこり:動かすと強くなることが多い
- しびれや感覚異常:肩から腕、手先にかけて広がることもある
- 運動障害:手の巧緻動作がしにくい、力が入りにくい
- 頭痛やめまい:頚椎の血流障害により出現する場合もある
頚椎症の原因と発症メカニズム
頚椎症の原因は以下のように考えられています。
- 加齢による椎間板変性
椎間板が変性し、クッション機能が低下します。 - 骨棘形成
頚椎の骨が変形し、神経を圧迫します。 - 姿勢の悪化
デスクワークやスマホ使用によるストレートネックが頚椎に負担をかけます。 - 筋緊張や血流不良
長時間同じ姿勢でいることで筋肉がこわばり、循環障害が悪化します。
鍼灸治療が頚椎症に効果を発揮するメカニズム
鍼灸治療は、頚椎症に対して以下のような作用をもたらします。
- 筋緊張の緩和:首や肩の過度な緊張を和らげ、神経圧迫を軽減します。
- 血流改善:局所や脳への血流を改善し、痛みやしびれを和らげます。
- 鎮痛効果:鍼刺激でエンドルフィンが分泌され、痛みが抑えられます。
- 神経機能の安定化:神経の興奮を抑制し、しびれや感覚異常を軽減します。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
現代医学では、鍼灸は「保存療法の一つ」として位置づけられています。特に手術適応でない軽度〜中等度の頚椎症において、痛みの軽減や生活の質の改善に寄与すると考えられています。リハビリや薬物療法との併用も推奨されるケースがあります。
科学的研究からみる鍼灸の効果
頚椎症性神経根症に対する鍼治療のRCT
- 対象:頚椎症患者120名
- 結果:鍼治療群で頚部痛としびれのVASスコアが有意に改善
- 引用:Sun Y et al., Acupuncture for Cervical Spondylotic Radiculopathy, Pain Medicine, 2013
慢性頚部痛に対するメタ分析
- 結果:鍼治療はプラセボよりも有意に痛みを軽減し、機能改善をもたらすことが示された
- 引用:Trinh K et al., Acupuncture for neck disorders, Cochrane Database, 2016
鍼灸治療の禁忌と注意点
- 明らかな脊髄圧迫症状(歩行障害や排尿障害)がある場合は、まず整形外科での診断・治療が優先されます。
- 急激に進行するしびれや麻痺は、鍼灸単独では対応できません。
- 抗凝固薬を使用している方は、出血リスクを考慮する必要があります。
当院での頚椎症治療の実際
局所治療:首・肩周囲の筋肉や圧痛点に鍼を行い、痛みと筋緊張を緩和します。
全身調整:首や肩だけでなく、背中や腰など関連する筋肉の緊張を和らげることで、頚椎への負担を軽減します。また、自律神経や血流のバランスを整えることで、体全体の回復力を高め、症状の再発予防につながります。
耳介療法(BFA®又は各種耳鍼療法):慢性的な痛みやしびれに対し、持続刺激で痛み止めに似た効果をもたらします。
私見:ASPを使用したBFA(戦場鍼)は、慢性の頚椎症における神経痛やしびれに特に有効で、薬を減らしながら生活の質を高める有力な手段だと考えています。


※頚椎症をはじめとした頚腕部の痛みの症状について、医師による同意書が発行された場合、療養費制度を利用して鍼灸治療を受けられる可能性がございます。
鍼灸治療の可能性と未来
頚椎症は加齢とともに多くの人が経験する疾患ですが、早期から鍼灸治療を取り入れることで痛みの進行を抑え、生活の質を保つことができます。薬や手術に頼る前に、体に優しい鍼灸を取り入れてみる価値は十分にあります。
頚椎症でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。
