変形性関節症に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

変形性関節症は、関節の軟骨がすり減ることで炎症や痛みを引き起こす慢性的な疾患です。加齢や過度な負荷、生活習慣の影響などが原因とされ、特に膝・股関節・指関節に多く見られます。
鍼灸はこのような変形性関節症に対して、炎症の抑制、痛みの軽減、可動域の改善などを目的として用いられます。近年では、薬に頼らない保存療法として注目されています。
変形性関節症の症状と特徴
- 関節の痛み(特に動作時)
- 起床時のこわばりや可動域制限
- 長時間の立位・歩行で悪化
- 関節の腫れや熱感
- 関節の変形(進行した場合)
変形性関節症の原因とメカニズム
関節軟骨の摩耗と再生不全
加齢や過度な使用により関節軟骨が摩耗し、修復が追いつかず変性が進行します。
関節周囲の筋力低下と姿勢の崩れ
筋肉のサポート力が低下し、関節への負担が増加します。
炎症反応と滑膜肥厚
関節内部での微細な炎症が継続し、痛みや腫れを引き起こします。
鍼灸治療が変形性関節症に効果を発揮するメカニズム
局所の血流改善
鍼刺激により、関節周囲の循環を改善し、炎症物質の代謝を促します。
筋緊張の緩和とサポート力の向上
関節を支える筋肉を調整し、負担を軽減します。
内因性鎮痛機構の活性化
エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌を促進し、痛みの閾値を上げます。
全身バランスの調整
骨盤や体幹を整え、姿勢や関節の使い方を改善します。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
鍼灸は、変形性関節症に対して非薬物的アプローチとして注目されており、欧米のガイドラインでも補完療法の一つとして推奨されています。痛みのコントロールや生活の質(QOL)の改善において有効とされ、特に運動療法や理学療法との併用が効果的とされています。
科学的研究からみる鍼灸の効果
変形性膝関節症に対するRCT(無作為化比較試験)
対象:変形性膝関節症の患者570名
結果:鍼治療群では12週間後にVASスコアが有意に改善。日常生活動作も改善傾向。
引用:Hinman RS et al. (2014), Acupuncture for chronic knee pain: a randomized clinical trial, JAMA.
鍼治療+運動療法の併用効果
結果:鍼治療と筋力トレーニングを併用した群では、関節の痛みと可動域の改善がより顕著に。
引用:Tillu A et al. (2012), Integrative treatment for osteoarthritis of the knee: A comparative study, J Altern Complement Med.
禁忌と注意点
- 関節内に感染や出血傾向がある場合は医師の判断を優先
- 強い腫れや熱感がある場合は一時的に施術を控える
- 抗凝固薬使用中や皮膚疾患のある部位には配慮が必要
当院での治療内容
局所治療
患部や関連筋肉への鍼刺激で痛みの軽減と血流改善を図ります。
全身調整
自律神経や全身のバランスを整えることで、慢性化の防止と回復力を高めます。
耳介療法(BFA®又は各種耳鍼療法)
慢性的な疼痛や筋緊張に対し、耳つぼへの持続刺激で痛み止めに似た効果が期待できます。
私見
私見ですが、変形性関節症には「局所治療」に加えて「ASPを使用したBFA(戦場鍼)」を組み合わせることで、日常生活の動作改善に効果的なケースが多く見られます。


※変形性関節症をはじめとした痛みの症状について、医師による同意書が発行された場合、療養費制度を利用して鍼灸治療を受けられる可能性がございます。
鍼灸治療の可能性と未来
変形性関節症は、薬や注射だけでコントロールしきれない慢性痛に悩まされることも多い疾患です。鍼灸は自然な形で体の治癒力を引き出すことができ、痛みの緩和や機能改善において大きな役割を果たす可能性があります。リハビリや運動療法と組み合わせることで、さらに高い効果が期待できるでしょう。
関節の痛みや違和感にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたに合った最適な施術をご提案いたします。