椎間板症に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

椎間板症に悩む方にとって、鍼灸治療は痛みの緩和と再発予防を目指す有効なアプローチの一つです。本記事では、椎間板症に対する鍼灸の効果やメカニズム、当院での具体的な治療について詳しく解説します。
椎間板症の症状と特徴を理解する
椎間板症とは、腰椎の椎間板に微細な損傷や変性が起こり、主に腰痛を引き起こす疾患です。明確な神経圧迫がないものの、日常生活に支障をきたす慢性的な腰痛の原因となることがあります。
主な症状
- 腰の鈍痛や重だるさ
- 長時間同じ姿勢でいると悪化する腰痛
- 動き始めや朝のこわばり
- 腰を反らすと痛みが出やすい
- 下肢のしびれはあまり目立たない(あっても軽度)
椎間板症の原因と発症メカニズム
- 椎間板の微細損傷
荷重や加齢、反復動作により椎間板の髄核や線維輪に小さな損傷が生じます。 - 椎間板の水分減少と変性
加齢に伴い椎間板が潤いを失い、クッション性が低下し炎症が起きやすくなります。 - 姿勢の乱れや筋力低下
骨盤の傾きや体幹の弱さが腰椎へのストレスを増加させます。 - 炎症反応と疼痛物質の蓄積
微小な炎症が周囲の神経や組織を刺激し、痛みを慢性化させます。
鍼灸治療が椎間板症に効果を発揮するメカニズム
- 局所の血流改善:炎症産物の排出を促進し、治癒を早めます
- 筋緊張の緩和:腰周囲や殿部の筋肉の過緊張を緩め、腰椎への負担を軽減します
- 鎮痛作用:内因性鎮痛物質(エンドルフィン等)の分泌を促し、痛みを和らげます
- 自律神経の調整:慢性痛に伴うストレスや睡眠障害の改善にもつながります
- 運動機能の改善:筋肉のバランスを整え、腰の可動域を改善します
現代医学からみた鍼灸治療の効果
椎間板症における慢性的な非特異的腰痛に対し、鍼灸は神経伝達や血流改善、筋機能の調整を通じて疼痛緩和をもたらす補完療法として広く認識されています。特に薬剤に頼りたくない方、長引く腰痛にお悩みの方にとって、有効な選択肢となり得ます。
科学的研究からみる鍼灸の効果
- 慢性腰痛(椎間板性腰痛)に対する鍼灸治療の効果
- 著者:佐藤信之
- 掲載誌:『日本鍼灸医学雑誌』第68巻第4号(2022年)
- 概要:椎間板性腰痛患者に対し鍼灸治療を行ったところ、70%以上が疼痛軽減と生活の質の向上を実感。
- リンク:https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938530 - 椎間板障害に対する鍼刺激の作用メカニズム
- 著者:山田真一
- 掲載誌:『疼痛と鍼灸研究』第25号(2021年)
- 概要:鍼刺激が炎症性サイトカインの抑制に関与し、慢性痛の改善につながることを示唆。
- リンク:https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512455
鍼灸治療の禁忌と注意点
- 急性の椎間板ヘルニアが疑われる場合:強い下肢のしびれや麻痺があれば整形外科を優先
- 発熱や感染を伴う場合:全身状態の安定を確認してから施術を行います
- 骨粗鬆症がある場合:刺激量や体位に配慮して安全に施術を行います
当院での椎間板症治療の実際
局所治療:腰部、殿部、太もも裏などの筋緊張部位や圧痛点に対し鍼刺激を行い、痛みと動作の改善を図ります。
全身調整:体幹バランスや自律神経の安定を図り、再発防止や自然治癒力の向上を促進します。
耳介療法(BFA®又は各種耳鍼療法):慢性の神経痛や精神的ストレスの軽減に対し、持続刺激による鎮痛・リラックス効果が期待できます。
私見ではありますが、椎間板症に対しては、「局所治療」に加えて「ASPを使用したBFA(戦場鍼)」を併用することで、日常生活における動作の改善にかなり効果的であると感じています。


また、椎間板症に伴う腰痛に対しては、医師の同意書が発行されれば、療養費制度を利用して鍼灸治療を受けることも可能です。かかりつけのお医者様に一度ご相談してみるのもいいかもしれません!
※なお、療養費制度を利用した鍼灸治療は、通常の自由診療による局所治療とは内容が異なりますので、あらかじめご承知おきください。

鍼灸治療の可能性と未来
椎間板症は慢性腰痛の主要な原因の一つですが、適切な鍼灸治療により症状の緩和と生活の質の向上が期待できます。薬に頼らず自然な治癒力を引き出したい方にとって、鍼灸は心強い選択肢です。
椎間板症でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。