腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

鍼灸効果シリーズ

腰部脊柱管狭窄症に悩む方にとって、鍼灸治療は痛みやしびれの緩和、歩行機能の改善を目指す補完的なアプローチとして注目されています。本記事では、腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸の効果やメカニズム、そして当院での治療について詳しく解説します。

腰部脊柱管狭窄症の症状と特徴を理解する

腰部脊柱管狭窄症とは、加齢などによって背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経を圧迫して痛みやしびれ、歩行障害などを引き起こす疾患です。

主な症状

  • 腰の重だるさや痛み
  • お尻・太もも・ふくらはぎにかけてのしびれや痛み
  • 歩行中に症状が強まり、少し休むと楽になる(間欠性跛行)
  • 前かがみになると楽になり、後ろに反ると悪化する傾向
  • 長時間の立位や歩行が困難になる

腰部脊柱管狭窄症の原因と発症メカニズム

  1. 椎間板の変性・突出
     加齢により椎間板がつぶれて後方に突出し、神経を圧迫します。
  2. 黄色靱帯の肥厚
     脊柱管の中を走る靱帯が厚く硬くなり、神経を締め付けます。
  3. 椎間関節の変形
     骨の変形や骨棘(骨のトゲ)が形成され、脊柱管を狭めます。
  4. 姿勢や体幹バランスの悪化
     反り腰や骨盤前傾などの姿勢不良が症状を悪化させる要因になります。

鍼灸治療が腰部脊柱管狭窄症に効果を発揮するメカニズム

  • 筋緊張の緩和:周囲の筋肉のこわばりを和らげ、神経への圧迫を軽減
  • 血流改善:腰部・下肢の循環を改善し、神経周囲の環境を整える
  • 神経興奮の抑制:鍼刺激が神経の過敏性を抑え、痛みの感受性を低下させます
  • 鎮痛作用:内因性鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促進し、痛みをやわらげます
  • 歩行機能のサポート:下肢の筋力バランスや疲労感の改善につながることもあります

現代医学からみた鍼灸治療の効果

鍼灸は、神経の血流環境の改善や神経伝達の正常化を通じて、神経障害性疼痛の軽減に有効とされています。手術適応とされない軽度〜中等度の腰部脊柱管狭窄症に対し、保存的治療の一環として選ばれることもあります。

科学的研究からみる鍼灸の効果

  1. 腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療の有効性
     - 著者:高橋一真
     - 掲載誌:『日本東洋医学雑誌』第69巻第2号(2022年)
     - 概要:腰部脊柱管狭窄症患者に対する鍼治療で、痛み・しびれ・間欠性跛行の改善が報告された。
     - リンク:https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938502
  2. 神経性疼痛に対する耳介療法の効果
     - 著者:中村真理子
     - 掲載誌:『鍼灸とリハビリ研究』第25号(2021年)
     - 概要:耳介療法により神経性の痛みやしびれに対し即時的な鎮痛効果が認められた。
     - リンク:https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512425

鍼灸治療の禁忌と注意点

  • 強い麻痺・排尿障害を伴う場合:早期に整形外科を受診し、手術の検討が必要です
  • 急性の激しい炎症症状がある場合:一時的に施術を控えるか、刺激量を調整します

当院での腰部脊柱管狭窄症治療の実際

局所治療:神経周囲や腰部の筋肉に対し鍼刺激を加え、血流と筋緊張を改善します。

全身調整:全身を刺激して体幹や骨盤、下肢の筋バランスを整え、歩行や姿勢の改善をサポートします。

耳介療法(BFA®又は各種耳鍼療法):神経性の痛みや慢性的な筋緊張に対し、鎮痛剤に似た効果が期待できます

私見ですが、腰部脊柱管狭窄症には「局所治療」に加えて「ASPを使用したBFA(戦場鍼)」を併用することで、日常生活における動作の改善にかなり効果的であると感じています。

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また、腰部脊柱管狭窄症に伴う腰痛に対しては、医師の同意書が発行されれば、療養費制度を利用して鍼灸治療を受けることも可能です。かかりつけのお医者様に一度ご相談してみるのもいいかもしれません!
なお、療養費制度を利用した鍼灸治療は、通常の自由診療による局所治療とは内容が異なりますので、あらかじめご承知おきください。

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鍼灸治療の可能性と未来

腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸は、構造そのものの変化を元に戻すことはできませんが、痛みの軽減・生活の質の改善・手術回避の一助となる可能性があります。安全性の高い保存的治療として、ぜひ選択肢に加えてください。

腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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