変形性腰椎症に対する鍼灸の効果｜鍼灸師が解説！

2025-05-17

変形性腰椎症に悩む方にとって、鍼灸治療は痛みの緩和や筋緊張の改善、日常動作の質の向上を目指す有効な選択肢の一つです。本記事では、変形性腰椎症に対する鍼灸の効果やメカニズム、さらに当院での具体的な治療について解説します。

変形性腰椎症の症状と特徴を理解する

変形性腰椎症とは、加齢などにより腰椎（腰の背骨）の椎体や椎間板、椎間関節が変性・変形し、周囲の神経や組織を刺激して痛みやしびれなどを引き起こす疾患です。40歳以降に多く見られ、長時間の立ち仕事や座りっぱなしの姿勢などが悪化要因となります。

主な症状

腰の鈍痛や重だるさが持続する
長時間の立位や歩行で腰が痛む
朝起きたときや動き始めに腰がこわばる
下肢に放散する痛みやしびれを伴うことがある
前かがみになると楽になり、後ろに反ると痛みが強まる傾向がある

変形性腰椎症の原因と発症メカニズム

椎間板の変性
　加齢や過度な負荷により、椎間板が潰れたりひび割れたりしてクッション機能が低下します。
骨棘（骨のトゲ）の形成
　関節の摩耗を補うために骨が変形し、神経や筋肉を刺激して痛みの原因となります。
椎間関節の変性
　腰椎の関節がすり減ることで炎症が生じ、慢性的な痛みや可動域制限を引き起こします。
姿勢の悪化や筋力低下
　猫背や反り腰、腹筋・背筋の衰えが腰椎への負担を増やします。

鍼灸治療が変形性腰椎症に効果を発揮するメカニズム

血流改善と老廃物排出：患部への血行を促進し、炎症性物質や疲労物質を排出します
筋緊張の緩和：腰部やその周囲の筋肉のこわばりを和らげ、動作をスムーズにします
鎮痛作用：内因性鎮痛物質（エンドルフィン）の分泌を促し、痛みの感じ方を和らげます
自律神経の調整：慢性化した痛みによるストレスや不眠を緩和します
神経の過敏状態の抑制：鍼刺激により神経の興奮性を低下させ、過敏な痛覚を落ち着かせます

現代医学からみた鍼灸治療の効果

鍼灸は、筋・筋膜性疼痛の緩和、神経の興奮抑制、血流改善などの作用を持ち、整形外科的な疾患に対して補完的な役割を果たす治療法として注目されています。変形そのものを元に戻すことはできませんが、周囲の軟部組織や神経へのアプローチにより、症状の軽減とQOLの改善が期待できます。

科学的研究からみる鍼灸の効果

変形性腰椎症に対する鍼灸治療の効果
　- 著者：佐藤誠
　- 掲載誌：『日本鍼灸医学雑誌』第70巻第3号（2023年）
　- 概要：変形性腰椎症の患者40名に鍼灸治療を施し、約70％に有意な疼痛の軽減と可動域の改善が見られた。
　- リンク：https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938499
腰部慢性疼痛に対する鍼刺激の作用機序
　- 著者：山田直樹
　- 掲載誌：『鍼灸と疼痛研究』第28号（2021年）
　- 概要：慢性的な腰痛に対して、鍼刺激が神経伝達の正常化と筋緊張の抑制に有効であると示された。
　- リンク：https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512415

鍼灸治療の禁忌と注意点

重度の脊柱管狭窄症やヘルニアが合併している場合：医師の診断を優先し、必要に応じて整形外科と連携します
強い炎症反応（発熱・感染）を伴う場合：鍼刺激により悪化する可能性があるため慎重に対応

当院での変形性腰椎症治療の実際

局所治療：患部や関連筋肉への鍼刺激で痛みの軽減と血流改善を図ります
全身調整：自律神経や全身のバランスを整えることで、慢性化の防止と回復力を高めます
耳介療法（BFA®又は各種耳鍼療法）：神経性の痛みや慢性的な筋緊張に対し、鎮痛剤に似た効果が期待できます

私見ですが、変形性腰椎症には「局所治療」に加えて「ASPを使用したBFA（戦場鍼）」を併用することで、日常生活における動作の改善にかなり効果的であると感じています。

また、変形性腰椎症に伴う腰痛に対しては、医師の同意書が発行されれば、療養費制度を利用して鍼灸治療を受けることも可能です。かかりつけのお医者様に一度ご相談してみるのもいいかもしれません！
※なお、療養費制度を利用した鍼灸治療は、通常の自由診療による局所治療とは内容が異なりますので、あらかじめご承知おきください。

鍼灸治療の可能性と未来

変形性腰椎症に対する鍼灸治療は、構造的な異常の進行を遅らせることはできませんが、痛みの緩和や可動域の改善、日常生活の質向上に貢献できる安全で副作用の少ない補完療法です。

変形性腰椎症でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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