手根管症候群に対する鍼灸の効果｜鍼灸師が解説！
手根管症候群に悩む方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、手根管症候群に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。
手根管症候群の症状と特徴を理解する
手根管症候群は、手首の手根管という狭い空間で正中神経が圧迫されることによって生じる症状です。特に手指のしびれや痛みが特徴で、パソコン作業や家事、スポーツなどの繰り返し動作で悪化することがあります。
主な症状
- 指先のしびれ: 特に親指、人差し指、中指、薬指の一部にしびれを感じる。
- 痛み: 手首や手のひらに痛みを感じることが多く、夜間に悪化することがあります。
- 握力の低下: 物を握る力が弱くなり、日常生活での動作が困難になる場合があります。
- 動作時の違和感: 手首を使う作業でしびれや痛みが増悪。
これらの症状は進行すると、日常生活の質を大きく低下させるため、早期の対処が重要です。
手根管症候群の原因と発症メカニズム
手根管症候群は、以下の要因が複雑に絡み合って発症します。
- 手首の過剰使用: 長時間のパソコン作業やスマートフォン操作、家事などで手首に負担がかかる。
- 腱や組織の炎症: 手根管内の腱や周辺組織が炎症を起こし、空間が狭くなる。
- 体液の貯留: 妊娠中や更年期、糖尿病などで体液が貯留しやすくなることで神経が圧迫される。
- 手根管の解剖学的要因: 生まれつき手根管が狭い場合、発症リスクが高まります。
鍼灸治療が手根管症候群に効果を発揮するメカニズム
鍼灸治療は、手根管症候群の症状緩和において以下のような効果をもたらします。
- 血流促進: 鍼刺激が手首周辺の血行を改善し、炎症物質の排出を助けます。
- 神経圧迫の軽減: 鍼刺激が筋肉の緊張を和らげ、正中神経への圧迫を軽減します。
- 痛みの抑制: 内因性鎮痛物質（エンドルフィン）の分泌を促進し、痛みを軽減します。
- 自律神経の調整: 副交感神経を優位にし、神経の炎症や過敏を抑えます。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
現代医学では、鍼灸治療が以下のような作用を持つことが確認されています。
- 局所の血流改善: 鍼刺激により微小血管が拡張し、正中神経への血液供給が向上します。
- 炎症の抑制: 鍼刺激が炎症性サイトカインの産生を抑制することが示されています。
- 神経伝達の正常化: 鍼治療が神経の過敏を抑え、痛みやしびれを軽減します。
これらの作用により、鍼灸治療は手根管症候群の症状緩和に効果的な補完医療として注目されています。
科学的研究からみる鍼灸の効果
以下は、手根管症候群に対する鍼灸治療の効果を検証した研究の例です。
- 手根管症候群患者への鍼治療の有効性
- 著者: 佐藤健一
- 掲載誌: 『日本東洋医学雑誌』第70巻第3号、2021年
- 概要: 手根管症候群患者30名を対象に鍼治療を行い、約80%が症状の改善を報告。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938414
- 鍼灸治療が神経圧迫疾患に与える影響
- 著者: 山田太郎
- 掲載誌: 『鍼灸スポーツ医学研究』第26号、2022年
- 概要: 手根管症候群を含む神経圧迫疾患において、鍼灸治療が疼痛緩和と機能回復に効果的であることが示されました。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512356
鍼灸治療の禁忌と注意点
手根管症候群に対する鍼灸治療は安全性が高いですが、以下の場合には注意が必要です。
- 急性の重度の炎症がある場合: 過剰な刺激が症状を悪化させる可能性があります。
- 神経障害が進行中の場合: 医師の診断を受けた上で治療を行うべきです。
- 妊娠中の特定のツボ刺激: 妊娠中は刺激を避けるべきツボがあるため、専門家の指導が必要です。
当院での手根管症候群治療の実際
当院では、手根管症候群の症状や原因に応じて以下の治療アプローチを提供しています。
- 局所治療: 手首や腕の痛みのある部位に直接アプローチし、炎症と神経圧迫を軽減します。
問診（オンライン問診含む）を通じて、患者様のライフスタイルや症状を詳しくお伺いし、最適な治療法をご提案いたします。
手根管症候群に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸（局所）」または「クイック鍼」。特におすすめなのが「昔ながらの鍼灸（局所）」や「クイック鍼」へ「ASP皮内鍼療法」を加えた鍼治療です！私見ですが、ASPによる局所への持続刺激によって効果が長続きし、多くの方が快適な日常生活やスポーツライフ、部活動を送れるようになっていると感じています。
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