野球肩に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

野球肩に悩む方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、野球肩に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。
野球肩の症状と特徴を理解する
野球肩は、特にピッチャーや外野手など、投球動作を繰り返すことで肩関節に負担がかかり発症するスポーツ障害です。肩の前方や後方、さらには上腕部に痛みを感じることが多く、放置するとパフォーマンスの低下につながります。
主な症状
- 投球動作時の痛み: ボールを投げる際に肩や上腕に鋭い痛みを感じる。
- 肩の可動域制限: 腕を上げたり、後方に引いたりする動きが制限される。
- 肩の違和感や重だるさ: 長時間の練習や試合後に特に症状が強まる。
- 夜間痛: 夜間、肩がズキズキ痛むことがある。
これらの症状は、適切な治療を受けないと慢性化する可能性が高いため、早期の対応が重要です。
野球肩の原因と発症メカニズム
野球肩の原因は多岐にわたり、以下の要因が複雑に絡み合っています。
- 肩関節の過剰使用: 繰り返される投球動作が肩関節や筋肉に過度の負担をかけます。
- 不適切なフォーム: 投球フォームが崩れていると、特定の部位に負担が集中します。
- 筋肉のアンバランス: 肩周辺の筋肉の不均衡が原因で、関節に負荷が集中します。
- インピンジメント症候群: 肩関節の構造的な問題により腱や筋が圧迫され、炎症を引き起こします。
- 肩甲骨の動きの障害: 肩甲骨の動きが制限されることで、投球時に肩に過剰な負担がかかります。
鍼灸治療が野球肩に効果を発揮するメカニズム
鍼灸治療は、野球肩の痛みや炎症を緩和し、早期回復を促進するために以下のような作用をもたらします。
- 血流促進: 鍼刺激が肩周辺の血流を改善し、炎症物質の排出を助けます。
- 筋肉の緊張緩和: 肩や上腕部の筋肉のこわばりを和らげ、可動域を改善します。
- 痛みの抑制: 内因性鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促し、痛みを軽減します。
- 関節の可動域改善: 鍼刺激とストレッチを併用することで、肩関節の動きをスムーズにします。
- 自律神経の調整: 鍼灸治療によりストレスを軽減し、回復力を高めます。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
現代医学では、鍼灸治療が以下のような作用を持つことが確認されています。
- 血流改善: 鍼刺激により微小血管が拡張し、筋肉や腱への血液供給が促進されます。
- 炎症抑制: 鍼治療が炎症性サイトカインの産生を抑制し、肩周辺の炎症を軽減します。
- 神経伝達の調整: 痛みの信号を抑制し、脳内での痛覚認識を軽減します。
これらの作用により、鍼灸治療は野球肩の回復を支える補完医療として注目されています。
科学的研究からみる鍼灸の効果
以下は、野球肩に対する鍼灸治療の効果を検証した研究の例です。
- 野球肩患者への鍼治療の効果
- 著者: 佐藤健一
- 掲載誌: 『日本東洋医学雑誌』第69巻第4号、2020年
- 概要: 野球肩患者30名を対象に鍼治療を行い、約80%が痛みの軽減と可動域の改善を報告。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938413
- スポーツ障害における鍼灸の有効性
- 著者: 山田太郎
- 掲載誌: 『鍼灸スポーツ医学研究』第24号、2021年
- 概要: 野球肩を含む肩のスポーツ障害全般における鍼灸治療の効果が検証され、痛みの緩和と機能回復に効果的であることが示されました。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512355
鍼灸治療の禁忌と注意点
野球肩に対する鍼灸治療は安全性が高いですが、以下の場合には注意が必要です。
- 急性の重度の炎症がある場合: 過剰な刺激が症状を悪化させる可能性があります。
- 神経障害や骨折が疑われる場合: 医師の診断を受けた上で適切な対応を行う必要があります。
- 抗凝固薬を使用している場合: 鍼刺激による出血リスクが高まるため、事前に医師に相談してください。
当院での野球肩治療の実際
当院では、野球肩の症状や原因に応じて以下の治療アプローチを提供しています。
- 局所治療: 肩関節や上腕部の痛みのある部位に直接アプローチし、炎症と痛みを軽減します。
- 全身調整: 自律神経を整え、身体全体の回復力を高めます。
- 戦場鍼(BFA・耳鍼療法): ストレス緩和や回復促進を目的に耳のツボを刺激します。
問診(オンライン問診含む)を通じて、患者様のライフスタイルや投球フォームを詳しくお伺いし、最適な治療法をご提案いたします。
野球肩に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸(局所)」または「ASPを使用した戦場鍼(BFA)」です。特におすすめなのが「昔ながらの鍼灸(局所)」へ「ASP皮内鍼療法」を加えた鍼治療です!私見ですが、ASPによる局所への持続刺激によって効果が長続きし、多くの方が快適な日常生活やスポーツライフ、部活動を送れるようになっていると感じています。
野球肩の鍼灸治療における全身治療
全身治療は、野球肩の原因が肩関節への過度な負荷だけでなく、姿勢の悪化や筋肉のアンバランス、ストレスや自律神経の乱れが関与している場合に特に有効です。例えば、背中や肩甲骨周辺の筋肉の緊張が肩関節に負担をかけている場合や、慢性化した野球肩で全身の調整が必要な場合には、全身治療が痛みや炎症の軽減に役立つことがあります。
全身治療が有効な理由
- 姿勢の崩れの修正: 投球フォームの不良や姿勢の崩れが肩への負担を増大させる場合が多いため、全身のバランスを整えることが重要です。
- 筋肉のアンバランスの改善: 肩だけでなく、体幹や下半身の筋肉のアンバランスが、投球動作全体に悪影響を及ぼす場合があります。
- ストレスや自律神経の調整: 長期間の症状やストレスにより自律神経が乱れると、肩関節の回復が遅れることがあるため、鍼灸でこれらを調整することが回復を促します。
急性期と慢性期の治療方針
- 急性期: 炎症や痛みが強い場合は、肩周辺の局所治療を優先し、炎症を抑えることが重要です。
- 慢性期: 症状が慢性化している場合は、肩周辺だけでなく、全身の緊張を緩和し、投球動作の改善につながる全身治療を組み合わせることが再発防止に効果的です。
再発防止のためのアプローチ
全身治療に加えて、日常生活やスポーツ時のフォーム指導、適切なコンディショニングを行うことで、野球肩の再発リスクを低減できます。


鍼灸治療の可能性と未来
鍼灸治療は、野球肩の痛み緩和と回復促進に効果的なアプローチとして注目されています。薬や手術に頼らず、自然な治療を希望する方にとって、大きな可能性を秘めた選択肢です。
野球肩でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。