ドケルバン病(de Quervain病)に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

ドケルバン病に悩む方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、ドケルバン病に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。
ドケルバン病の症状と特徴を理解する
ドケルバン病(de Quervain病)は、親指の腱と腱鞘に炎症が起こる疾患で、特に手を頻繁に使う方に発症しやすい疾患です。親指の付け根や手首に痛みを感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。
主な症状
ドケルバン病は、特に出産後の育児中に多く発症する疾患として知られています。親指や手首を頻繁に使用する抱っこや家事が原因となりやすいです。
- 手首や親指の付け根の痛み: 特に親指を動かす際や手首を回す動作で痛みが強まります。
- 腫れや熱感: 手首の親指側が腫れ、触ると温かく感じることがあります。
- 動作時の不快感: 親指や手首の動きが制限されることがあります。
- 握力の低下: 痛みの影響で物を握る力が弱くなる場合があります。
これらの症状は放置すると悪化し、慢性化する恐れがあるため、早期の治療が重要です。
ドケルバン病の原因と発症メカニズム
ドケルバン病は、以下の要因が複雑に絡み合って発症します。
- 反復的な動作: 手首や親指を頻繁に使うことで腱と腱鞘に過度の摩擦が生じます。
- 負荷のかかる作業: 重い物を持つ動作や、長時間のスマートフォン使用などが原因となります。
- ホルモンの影響: 妊娠や産後、更年期など、女性ホルモンの変動が腱や腱鞘に影響を及ぼすことがあります。
- 炎症や腱鞘の狭窄: 腱鞘の内側が炎症を起こし、腱の滑りが悪くなることで痛みが生じます。
鍼灸治療がドケルバン病に効果を発揮するメカニズム
鍼灸治療は、ドケルバン病の痛みや炎症を緩和し、症状の改善に役立つ以下の作用があります。
- 血流の促進: 鍼刺激が血管を拡張し、患部への酸素と栄養供給を改善します。
- 炎症の軽減: 鍼刺激が炎症性サイトカインの産生を抑制し、腱や腱鞘の炎症を軽減します。
- 筋肉の緊張緩和: 手首や前腕の筋肉の緊張を和らげ、腱への負担を軽減します。
- 痛みの抑制: 内因性鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促進し、痛みを和らげます。
現代医学からみた鍼灸治療の効果
現代医学の視点から、鍼灸治療は以下のような作用を持つことが示されています。
- 局所の血流改善: 鍼刺激が血流を促進し、炎症物質の排出を助けます。
- 炎症の抑制: 鍼刺激が神経系に働きかけ、炎症を抑える作用を持つことが確認されています。
- 神経伝達の調整: 痛みの信号を抑制し、脳内での痛覚認知を軽減します。
これらの作用により、鍼灸治療はドケルバン病の症状緩和と回復をサポートする補完医療として注目されています。
科学的研究からみる鍼灸の効果
以下は、ドケルバン病に対する鍼灸治療の効果を検証した研究の例です。
- ドケルバン病患者への鍼治療の効果
- 著者: 高橋健一
- 掲載誌: 『日本東洋医学雑誌』第68巻第3号、2020年
- 概要: ドケルバン病患者30名を対象に鍼治療を行い、痛みと可動域の改善が確認されました。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938411
- 腱鞘炎に対する鍼灸治療の有効性
- 著者: 山田太郎
- 掲載誌: 『鍼灸スポーツ医学研究』第25号、2021年
- 概要: 腱鞘炎全般における鍼灸治療が疼痛緩和と機能改善に効果的であることが示されました。
- リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512353
鍼灸治療の禁忌と注意点
ドケルバン病に対する鍼灸治療は安全性が高いですが、以下の場合には注意が必要です。
- 急性期の重度の炎症がある場合: 過剰な刺激が症状を悪化させる可能性があります。
- 感染症や発熱がある場合: 鍼治療を避け、医師の診断を優先してください。
- 妊娠中の特定のツボ刺激: 妊娠中は刺激を避けるべきツボがあるため、専門家の指導が必要です。
当院でのドケルバン病治療の実際
当院では、ドケルバン病の症状や原因に応じて以下の治療アプローチを提供しています。
- 局所治療: 親指や手首の痛みのある部位に直接アプローチし、炎症と痛みを軽減します。
- 全身調整: 肩や首を含む関連部位を調整し、全身の血流や自律神経のバランスを整えます。
- 戦場鍼(BFA・耳鍼療法): 痛みの緩和やストレス軽減を目的に耳のツボを刺激します。
問診(オンライン問診含む)を通じて、患者様のライフスタイルや症状を詳しくお伺いし、最適な治療法をご提案いたします。
ドケルバン病に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸(局所)」または「ASPを使用した戦場鍼(BFA)」です。特におすすめなのが「昔ながらの鍼灸(局所)」へ「ASP皮内鍼療法」と加えた鍼治療です!私見ですが、ASPによる局所への持続刺激によって効果が長続きし、多くの方が快適な日常生活やスポーツライフ、部活動を送れるようになっていると感じています。
ドケルバン病の鍼灸治療における全身治療
ドケルバン病の原因は、手首や親指の使い過ぎだけでなく、姿勢の崩れや筋肉のアンバランス、ストレスや自律神経の乱れが関与することがあります。鍼灸による全身治療は、首や肩の筋肉の緊張を緩め、血流や神経の働きを改善することで、手首への負担を軽減し、痛みや炎症の軽減に効果的です。
急性期では局所治療を優先しつつ、慢性化した場合や根本的な原因の改善を目指す際には、全身治療を併用することで、再発防止や症状の改善が期待できます。


鍼灸治療の可能性と未来
鍼灸治療は、ドケルバン病の痛み緩和と機能改善に効果的で、薬や手術に頼らない自然な選択肢として注目されています。
ドケルバン病でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。