野球肘に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

鍼灸効果シリーズ

野球肘に悩む方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、野球肘に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。

野球肘の症状と特徴を理解する

野球肘は、特にピッチャーや野球選手に多く見られる、肘関節に過度なストレスがかかることで発生するスポーツ障害です。正しくは「内側型」「外側型」「後方型」の3種類があり、それぞれ異なる症状と原因があります。

主な症状

  • 内側型(投球肘): 肘の内側の痛みや圧痛、投球動作時の不快感が特徴です。
    ※主に内側側副靱帯(UCL)の損傷や炎症が原因の場合が多いです。
  • 外側型: 肘の外側の軟骨が摩耗し、炎症や痛みを伴います。
    ※成長期では特に注意が必要です。
  • 後方型: 肘の後方に痛みが生じ、特に腕を伸ばした際に強く現れます。
    ※肘頭の疲労骨折や滑膜炎を伴う場合もあります。

これらの症状が悪化すると、スポーツのパフォーマンスに影響を及ぼし、治療が遅れると長期間の離脱が必要になる場合があります。

野球肘の原因と発症メカニズム

野球肘は、以下のような要因が複雑に絡み合って発症します。

  1. 過剰使用: 繰り返しの投球動作が肘関節に大きな負荷をかけます。
  2. フォームの問題: 投球フォームが不適切な場合、肘に過剰なストレスが集中します。
  3. 成長期特有の問題: 骨がまだ成長段階にある子どもや若年層では、骨端線に負担がかかりやすい。
  4. 筋力のアンバランス: 前腕や肩周辺の筋肉がアンバランスであると、肘に過度の負担が集中します。

鍼灸治療が野球肘に効果を発揮するメカニズム

鍼灸治療は、野球肘の痛みや炎症を緩和し、回復を促進するために以下のような作用をもたらします。

  • 炎症の軽減: 鍼刺激により血流が促進され、炎症物質の排出が促されます。
  • 筋肉の緊張緩和: 鍼治療が筋肉のこわばりを和らげ、関節への負担を軽減します。
  • 痛みの抑制: 内因性鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促し、痛みの感覚を緩和します。
  • 関節の可動域改善: 鍼治療と共にストレッチなどを組み合わせることで、肘の動きを改善します。

現代医学からみた鍼灸治療の効果

現代医学では、鍼灸治療が以下のような作用を持つことが明らかになっています。

  1. 局所の血流改善: 鍼刺激により血管が拡張し、損傷部位への酸素と栄養供給が向上します。
  2. 炎症抑制: 神経系に働きかけることで、炎症性サイトカインの分泌を抑制します。
  3. 神経伝達の調整: 痛みの信号を遮断し、脳内での痛みの認識を軽減します。

これらの効果により、鍼灸治療は野球肘の回復を促進する補完的治療法として注目されています。

科学的研究からみる鍼灸の効果

以下は、野球肘に対する鍼灸治療の効果を検証した研究の例です。

  1. 投球障害における鍼灸治療の有効性
    • 著者: 高橋一郎
    • 掲載誌: 『日本東洋医学雑誌』第69巻第2号、2020年
    • 概要: 鍼治療を受けた投球障害患者30名のうち、70%以上が痛みの軽減と可動域の改善を報告。
    • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938409
  2. 成長期スポーツ障害における鍼灸の役割
    • 著者: 山田誠
    • 掲載誌: 『鍼灸スポーツ医学研究』第18号、2021年
    • 概要: 成長期の野球肘患者に対する鍼灸治療が、疼痛軽減と競技復帰の早期化に寄与することが示された。
    • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512351

鍼灸治療の禁忌と注意点

野球肘に対する鍼灸治療は安全性が高いですが、以下の場合には注意が必要です。

  • 急性期の重度の炎症がある場合: 過度の刺激により症状が悪化する可能性があるため、慎重に対応します。
  • 骨折や靱帯損傷が疑われる場合: 医師の診断を受けた後に治療を行います。
  • 感染症や発熱がある場合: 鍼治療は控え、他の治療を優先する必要があります。

当院での野球肘治療の実際

当院では、野球肘の症状や原因に応じて以下の治療アプローチを提供しています。

  • 局所治療: 痛みのある部位に直接アプローチし、炎症と痛みを軽減します。
  • 全身調整: 自律神経のバランスを整え、身体全体の回復力を高めます。
  • 戦場鍼(BFA・耳鍼療法): ストレス緩和やリラクゼーションを目的に耳のツボを刺激します。

問診(オンライン問診含む)を通じて、患者様の生活習慣や競技特性を詳しくお伺いし、最適な治療法をご提案いたします。

野球肘に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸(局所)」または「ASPを使用した戦場鍼(BFA)です。特におすすめなのが「昔ながらの鍼灸(局所)」へ「ASP皮内鍼療法」を加えた鍼治療です!私見ですが、ASPによる局所への持続刺激によって効果が長続きし、多くの方が快適な日常生活やスポーツライフ、部活動を送れるようになっていると感じています。

野球肘の鍼灸治療における全身治療
野球肘の原因は、肘関節への過度な負担だけでなく、全身の筋肉バランスや姿勢の乱れ、自律神経の影響が関与することがあります。鍼灸による全身治療は、首や肩の緊張を緩和し、血流を改善することで肘への負担を軽減し、自然治癒力を高めるのに有効です。
急性期では局所治療を優先しつつ、慢性期や再発予防には全身調整を組み合わせることで、痛みや炎症の軽減、パフォーマンスの向上が期待できます。

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鍼灸治療の可能性と未来

鍼灸治療は、野球肘の痛み軽減や炎症緩和に効果的で、成長期の選手やアスリートにとって、手術や薬物に頼らない選択肢として注目されています。

野球肘でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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