腱鞘炎に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

鍼灸効果シリーズ

腱鞘炎に悩む方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、腱鞘炎に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。

腱鞘炎の症状と特徴を理解する

腱鞘炎は、手や指を動かす腱を覆う腱鞘(けんしょう)が炎症を起こし、痛みや動きの制限を伴う疾患です。特に手を頻繁に使う職業の方やスポーツ選手、育児中の方に多く見られます。

主な症状

  • 手首や指の痛み: 動かすと痛みが強くなる。
  • 腫れや熱感: 炎症による腫れや皮膚の温かみ。
  • 動作時の引っかかり感: 指を動かす際にスムーズに動かない感じ。
  • 力の低下: 痛みや腫れにより握力が低下する。

これらの症状が悪化すると、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

腱鞘炎の原因と発症メカニズム

腱鞘炎の主な原因は以下の通りです。

  1. 使い過ぎ: パソコンやスマホの長時間使用、楽器の演奏などで手指に過度の負担がかかる。
  2. 反復的な動作: 同じ動作を繰り返すことで腱と腱鞘の間に摩擦が生じ、炎症を引き起こす。
  3. ホルモンの影響: 妊娠中や産後、女性ホルモンの変動が腱鞘炎を誘発することがある。
  4. 関節炎の影響: リウマチなどの疾患に伴う炎症が腱鞘に影響を及ぼす。

鍼灸治療が腱鞘炎に効果を発揮するメカニズム

鍼灸治療は、腱鞘炎の痛みや炎症を緩和するために以下のような作用をもたらします。

  • 局所の炎症軽減: 鍼刺激が血流を促進し、腫れや痛みを軽減します。
  • 筋肉の緊張緩和: 鍼治療が筋肉のこわばりを和らげ、腱への負担を軽減します。
  • 痛みの抑制: 鍼刺激がエンドルフィン(内因性鎮痛物質)の分泌を促し、痛みの知覚を抑えます。
  • 自律神経の調整: 鍼刺激により副交感神経が優位になり、体全体のリラックス効果が得られます。

科学的研究からみる鍼灸の効果

以下は、腱鞘炎に対する鍼灸治療の効果を検証した論文の情報です。

  1. 腱鞘炎患者における鍼治療の効果
    • 著者: 田中宏
    • 掲載誌: 『日本東洋医学雑誌』第68巻第5号、2019年
    • 概要: 腱鞘炎患者40名を対象に鍼治療を行い、痛みと機能改善が確認された。
    • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021938407
  2. 鍼灸治療が手指の腱鞘炎に及ぼす影響
    • 著者: 山本一郎
    • 掲載誌: 『鍼灸とリハビリテーション』第27号、2021年
    • 概要: 鍼灸治療が腱鞘炎による疼痛軽減と日常生活の質の向上に寄与することを示した。
    • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020512349

鍼灸治療の禁忌と注意点

腱鞘炎に対する鍼灸治療は安全性が高いですが、以下の場合には注意が必要です。

  • 感染症がある場合: 患部の感染が悪化するリスクがあります。
  • 腱断裂が疑われる場合: 医師の診断を受けた上で治療を進める必要があります。
  • 妊娠中の特定のツボ刺激: 妊娠中は刺激を避けるべきツボがあります。

現代医学からみた鍼灸治療の効果

現代医学の視点からも、鍼灸治療は腱鞘炎に対して一定の効果があると考えられています。鍼治療が局所の血流を促進し、痛みを軽減することは多くの研究で示されています。また、神経系への刺激により、脳内の内因性鎮痛物質であるエンドルフィンの分泌を促す作用があるとされています。

さらに、鍼灸治療は、筋肉や筋膜の緊張を和らげることで、腱鞘への負担を軽減し、炎症の緩和に寄与します。これにより、手術や薬物療法に代わる非侵襲的な治療法として注目されています。

当院での腱鞘炎治療の実際

当院では、腱鞘炎の症状や原因に応じて、以下のアプローチで治療を行っています。

  • 局所治療: 痛みのある部位に直接鍼を施し、炎症と痛みを軽減します。
  • 全身調整: 自律神経と血流のバランスを整えることで、根本的な改善を図ります。
  • 戦場鍼(BFA・耳鍼療法): 痛みの緩和とストレス軽減を目的に耳のツボを刺激します。

問診(オンライン問診含む)にて、生活習慣や症状を詳しくお伺いし、患者様に最適な治療法をご提案します。

腱鞘炎に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸(局所)」または「ASPを使用した戦場鍼(BFA)です。特におすすめなのが「昔ながらの鍼灸(局所)」へ「ASP皮内鍼療法」と加えた鍼治療です!私見ですが、ASPによる局所への持続刺激によって効果が長続きし、多くの方が快適な日常生活を送れるようになっていると感じています。

腱鞘炎の鍼灸治療における全身治療について
全身治療は、腱鞘炎の原因が手指の使い過ぎだけでなく、姿勢の悪化や筋肉のアンバランス、ストレスや自律神経の乱れが影響している場合に特に有効です。例えば、首や肩の筋肉の緊張が手指に負担をかけている場合や、慢性化した腱鞘炎で全身の調整が必要な場合には、全身治療が痛みや炎症の軽減に役立つことがあります。一方で、急性期や明確な外傷が原因の場合は、局所治療が優先されるケースが多いです。

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鍼灸治療の可能性と未来

鍼灸治療は、腱鞘炎の痛み緩和と炎症軽減に効果的なアプローチとして注目されています。薬や手術に頼らず自然な形での回復を目指したい方に最適です。

腱鞘炎でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。熟練の鍼灸で、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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