メニエール症候群に対する鍼灸の効果|鍼灸師が解説!

鍼灸効果シリーズ

メニエール症候群に悩まされる方にとって、鍼灸治療は効果的なアプローチの一つとして注目されています。本記事では、メニエール症候群に対する鍼灸治療の効果や科学的根拠、さらに具体的な治療例について詳しく解説します。

メニエール症候群の症状と特徴を理解する

メニエール症候群は、内耳の障害によって引き起こされる慢性的な疾患です。この症候群の主な症状には以下のようなものがあります。

回転性めまいは、自分や周囲が回転しているように感じる激しいめまいです。発作は突然始まり、数分から数時間(場合によっては数日間)持続します。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、発作中は立っていることが困難になります。

耳鳴りは、低音域での「ゴーッ」という音や、高音域の「キーン」という音が聞こえます。発作前後やめまいの最中に悪化することが多く、慢性化する場合もあります。

難聴は、片耳での感音性難聴が多く、特に低音域の聞こえが悪くなります。発作の度に難聴が進行し、慢性的な聴力低下に繋がる場合があります。

耳閉感は、耳が詰まったように感じる不快感です。聴力のこもり感や圧迫感を伴います。

これらの症状は個別に現れる場合もあれば、同時に複数発生することもあります。症状は発作性で、間欠的に繰り返すのが特徴です。発作が収まると症状が軽減しますが、進行すると持続的な症状へと悪化することがあります。


メニエール症候群の原因と発症メカニズム

メニエール症候群の原因は完全には解明されていませんが、主な要因として内リンパ水腫(内耳のリンパ液の異常な蓄積)が挙げられます。

内耳のリンパ液は音や平衡感覚の伝達に重要ですが、何らかの原因で過剰に蓄積されると、内耳の圧力が高まり、正常な機能を妨げると考えられています。

リンパ液の循環異常により内リンパ嚢の排出不良や吸収障害が起こり、結果としてリンパ液が過剰蓄積します。圧力が上昇すると、有毛細胞(音を感じ取る細胞)が圧迫され、めまいや難聴が引き起こされます。

また、内耳の微小血管の循環不良により酸素供給が不足し、神経の異常興奮が発生します。さらに、ストレスや睡眠不足などによって自律神経のバランスが崩れることが、内耳の血流やリンパ液の循環悪化に繋がります。

これらの要因が複合的に絡み合い、メニエール症候群を引き起こすと考えられています。

鍼灸治療がメニエール症候群に効果を発揮するメカニズム

鍼灸治療は、メニエール症候群の症状を緩和するために複数の生理学的作用を引き出すと考えられています。

まず、鍼刺激によって内耳周辺の血流が促進され、内リンパ液の過剰蓄積の解消を助けます。これにより、内耳の圧力が軽減し、回転性めまいや耳鳴り、耳閉感の症状が緩和されると考えられています。

さらに、鍼治療は自律神経系のバランスを整える効果があります。副交感神経を優位にし、交感神経の過活動を抑制することで、内耳の血流が正常化され、症状の緩和につながります。

また、鍼刺激によってエンドルフィン(内因性鎮痛物質)の分泌が促進され、痛みや不快感が軽減されます。

さらに、脳神経系に対する鍼の効果として、三叉神経や迷走神経などへの刺激が平衡感覚の異常を抑制する効果も報告されています。

科学的研究からみる鍼灸の効果

以下は、メニエール病に対する鍼灸治療の効果を検証した論文の情報です。

1. メニエール病の鍼治療

  • 著者: 菊池尚子
  • 掲載誌: 『医道の日本』第65巻第10号、2006年
  • 概要: メニエール病患者に対する鍼治療の臨床的効果が報告されています。鍼治療により、めまいや耳鳴りなどの症状の改善が見られたケースが紹介されています。
  • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40020373893

2. メニエール病の中医鍼灸治療

  • 著者: 植松秀彰、中村真通
  • 掲載誌: 『東洋医学鍼灸ジャーナル』第21号、2011年
  • 概要: 中医学的アプローチによるメニエール病の鍼灸治療について、具体的な症例を通じて効果が検討されています。患者の症状改善に寄与した治療法が詳述されています。
  • リンク: https://ci.nii.ac.jp/naid/40018916273

3. メニエール症候群治療における鍼治療の根拠探究

  • 掲載サイト: HOT鍼灸
  • 概要: メニエール症候群に対する鍼治療の有効性を検証するため、英語と中国語の体系的レビューを集めた研究です。27件の研究を分析し、鍼治療が急性および慢性のメニエール病患者に効果があることが確認されました。
  • リンク: https://hot-acu.com/2018/10/04/memai_ebm/

これらの研究は、メニエール病に対する鍼灸治療の効果を示唆しています。
ただし、臨床結果には個人差があるため、必ずしも同様の結果が得られるとは限りません。

当院でのメニエール症候群治療の実際

当院では、メニエール症候群の症状に悩む患者様に対して、局所的な治療から全身治療、そして戦場鍼(耳鍼療法)など様々な治療を提供しています。

問診(オンライン問診含む)にて、めまいや耳鳴りの頻度、発症状況、生活環境などを詳しくお伺いし、主体となる症状に一番合いそうな治療を提案させて頂き納得してから治療させて頂きます。

多くの患者様が、3〜5回の治療で症状の改善を実感され、その後の継続治療で症状が更に改善して安定してくるケースが多く見られます。

メニエール病に対しておすすめの治療は、「昔ながらの鍼灸(局所)」「昔ながらの鍼灸(全身)」または「松浦流BFA」です。昔ながらの鍼灸(込々プラン)をご選択いただいた場合、当院で提供できる最高の治療をご提供させて頂きます。

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戦場鍼によるメニエール病の症状改善に対して有効なエビデンスはまだなく、あくまで私見、経験ではありますが確かな効果を実感しています。
※戦場鍼(Battlefield Acupuncture, BFA®)は、米空軍で使用される即効性の高い耳鍼療法です。

鍼灸治療の可能性と未来

鍼灸治療は、薬物療法と併用することでさらに効果を高めることができます。薬の副作用が懸念される場合や、慢性的な症状で悩んでいる方にとって、安全で持続的な治療方法として注目されています。現代医学と鍼灸の融合により、メニエール症候群に対する治療の選択肢がますます広がっています。

メニエール症候群でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。鍼灸治療の可能性を通じて、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

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